昨今日本では女性の社会進出が進み、働く女性が増えてきています。
2019年と2020年のデータを比較すると1年で200万人も増加するなど右肩あがりとなっています。
2016年に女性活躍推進法が施行されたことがきっかけで、女性の社会進出やワーキングママという言葉がメジャーになってきました。
そこで今回の記事では女性の社会進出の現状と、今後の課題について紐解いていきます。
女性の社会進出とは?
女性の社会進出とは、かつて男性が中心であった社会において、女性の社会的な活躍が増えていることを意味します。
2022年には、常時雇用する労働者が100人以下の事業主を対象に、企業における女性の活躍に関する「現状把握」「課題分析」の取り組みが努力義務として課せられました。
日本における女性の社会進出の現状
女性の社会進出もメジャーになってきた昨今ですが、まだまだ男性優位の社会です。中でも役職や役員の女性の割合はは半分以下になっており、役職者は男性が多いのが現状です。
出典:内閣府 男女共同参画局
内閣府が2018年に発表したデータによると、民間企業の階級別役職者に占める女性の割合は1989年から2018年の9年間で右肩あがりとなっています。
役職別に見てみると係長・課長・部長の順番の順番で多くなっており、役職が上がるにつれ女性が少なくなっていることが読み取れます。
ちなみに、上場企業の役員に占める女性の割合を見てみると2012年が1.6%だったのに対し2019年は5.2%を占めるなど増加傾向となっています。
このデータだけみると「日本の女性の社会進出は進んでいる」と思うかもしれませんが、世界的に見るとまだ遅れています。
出典:厚生労働省
業種別女性役員の割合
出典:内閣府 男女共同参画局
日本の産業の中で、女性の役員がいない企業が過半数を占めている業種が33業種中9業種あります。
その内訳を見てみると、
・海運業
・パルプ・紙
・ガラス・土石製品
・倉庫・運輸関連業
・鋼鉄
・機械
・金属製品
・不動産業
・その他製品
の9業種となっています。
その一方で女性役員の比率が多い業種が、
・小売業
・サービス業
・銀行業
・医薬品
となっています。
世界における女性役員の比率
出典:内閣府 男女共同参画局
日本女性役員は伸びているものの、世界の先進国と比較すると圧倒的に低いのが現状です。
2021年のデータをみると、
・フランス45.3%
・ノウルェー41.5%
・イギリス37.8%
・ドイツ36.0%
・アメリカ29.7%
・日本12.6%
と、アメリカと比較しても2倍以上の差があることが一目瞭然です。
日本の女性の社会進出が遅れている理由
日本の女性の社会進出が遅れている理由の一つに、「出産・育児と仕事の両立の難しさ」があります。
前述の通り、女性管理職の割合が少ないため正規雇用が長時間労働など女性が抱える困難が認識されにくいことも含まれます。
出産・育児休業制度を導入する企業は大手企業を中心に増えては来ているものの、「制度を使って3年間休業したのに元のポジションに戻れずキャリアアップが難しくなる」ことや、キャリアアップに支障出たり、育休後のハードルが上がるという声も出ています。
また、トップに男性が多い会社では女性が抱える身体的・精神的問題や配偶者に家事・育児の負担が生じることをリアルに想定した問題提起や問題解消が図られにくいという問題もあります。
そのため女性が働きやすい環境が整備されない課題もあるのです。
日本で女性の社会進出が進むメリット
世界各国のように日本で女性の社会進出(女性の管理職が増える)が進むと、従業員を雇用する企業にとってどのようなメリットがあるのでしょうか?
女性が働きやすい環境ができ、採用に効果的
女性の管理職が増えると、女性社員が働きやすい環境が作りやすくなります。
そのため育休明けの復帰や社内にロールモデルを作ることができます。
そうすることで採用の間口も広がり、良い人材を採用することにもつながります。
社会からの評価が高まる
女性社員や、女性の管理職が増えると社会からも評価も高まります。
女性を雇用し、性別によらず社員を大切にする企業として社会で認知されれば、企業全体の信頼性が高まり、ESG投資でも選ばれやすくなるメリットもあります。
また、厚生労働省による「えるぼし認定」や「くるみん認定」、経済産業省と東京証券取引所による「なでしこ銘柄」などといった公的機関からも認定制度が設けられています。
公的機関から認定されると認定マークを付与されるので、企業の社会的イメージがさらにアップするでしょう。
まとめ
女性の社会進出は進んでいるものの、世界の先進国と比べるとまだまだ認知度が低い日本。
その解決策の一つとして女性管理職を増やすことがあります。
実際に出産・育児休業して復帰した女性社員を管理職に登用している企業も増えてきており、日本の更なる女性進出できる環境づくりに注目が集まっています。